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ツアー日記

「綺麗ね~」と人様に褒めていただくことの多い肌だった。

その歴史は生れ落ちた瞬間、お医者様が「なんて肌の綺麗な子なんだろう!」と感嘆したことにまで遡ることができる(母談)。裏を返せば、他に取り立てて褒めるところがないから、と言えなくも無いが、まあ、良い所があるというのは幸せなことではある。
だからこそ、唯一無二ともいえる宝物の【肌】をそれはそれは大事にもしていた。
若いころからケアも万全、メイクをしたまま寝てしまうことなどもなく、夏になるとこんがり日焼けを楽しむ友らのことを、日焼け止めを塗りながら横目で見ていた。
天性のものに手をかけているのだから、当然のごとくそれは『永遠』と思ってすらいた。

だが、目には見えねど私と「美肌」の蜜月は、自らの加齢によってゆっくりとしかし確実に終息にむかっていったのである。その「終わり」の「始まり」に気付いたときの焦燥感、そして恐怖。「あぁ、もう唯一の長所すら失ってしまうのね」と泣くことしかできない諦めの日々。
しかし!泣いてばかりいたんじゃラチがあかないということにハタと気付き、さあ、ここからが本題。それまで涙を拭うだけであった私は、震える指先でインターネットを駆使し、雑誌で最新の情報を読み漁り、人の噂に右往左往し、手当たり次第、もう貪るように調べ始めた。
『肌が綺麗』で有名な、長年某化粧品の【顔】ともいえる女優さんがアプトスをしていることをテレビで発見(だって、法令線のありえない場所にエクボというか引きつれがあるのだ)したり、お歳を召しているのに元気でお若いと評判の老大女優が年に一度ルーマニアで血液総取っ替えしているという事実を知ったり。なんとまあ、皆様いろいろやってらっしゃること!しかしどなたも、『お直しやってる感』が漂い、私の心を「がしっ」と鷲掴みにして揺さぶるにはちと、というかもの凄く弱いものがあった。

そう、そんなとき。やはり美しくて有名な人気女優(40代後半)が気になり。なぜなら、彼女の肌の若さは特筆すべきもので、その美貌は評判でありながら、とっても自然。そうよっ、「何もやってない」とは言わせやしないわっ。絶対に何か【やってる】はず!【それ】を突き止めなくては!
「そんなこと言ったって、どうやって調べるっていうのよ?」と、お思いでしょ?
そこはそれ、あーた、蛇の道はヘビ。
あの手この手で、とうとう、私は情報を入手したのである。どうやら彼女は【ロシア】で【金の糸】とやらを施したらしい、という事実を!

今思い返してみても、何故『これが私の救世主』と確信したのか定かでない。しかし、『これしかない』と直感でわかった。もう、そこからは話はカンタン。目標も決まりあれよあれよトントン拍子に話は進み・・・。と、いいたいところだが、自らの『一度決めたらとことん』でありながら『臆病で小鳥のような心臓の持ち主』という相反する2つの面の狭間で大揺れに揺れに揺れ、ま、あれやこれやなんやかやいろいろあるわけだが、長くなるので決定するまでの紆余曲折の道のりはザックリと割愛。

兎に角、迷える子羊は伝道師たる社長の吉伊さまにたどり着きロシアへ旅することになった訳なのである。 

ロシア及びモスクワのことを、どのくらいご存知だろうか?
お恥ずかしながら、私は学生時代の歴史の授業とニュースでの話題くらいしか知識がなく、且つたいして興味もなかった。でもせっかく旅するのだから、と詳しく調べていくうちに「私ってもしかしたら前世はロマノフ王朝の姫君だったんじゃ(何言ってんだ)?」というほど何故だかすっかり魅了されてしまったのである。是が非でも行きたい!もうそうなったら恋する乙女。「好きになってしまった相手のことはすべて知りたいのっ!」となるわけで。   
乙女(もしくは姫君でも可)はその恋心を吉伊社長にお伝えし、つのる想いをご相談。
治安(他のヨーロッパの都市と同等とのこと)も 鑑み、<出来るだけ安全>で且つ<効率よい方法>として【一日タクシーをチャーター】【二日間専属のガイドさん】をお願いすることに。
あとに残すはトランクに「なに」を「どれだけ」詰めていくか、である。
一般的な旅行の必需品と洋服。「夏だけどロシアだから寒いかもね~」とカーディガン数枚とショールも。洗髪は施術後できないから一回分を小さなボトルに詰め替えて。毎日洗髪できないのは辛いし、頭皮をふき取りたいかもしれないから、シーブリーズのウェットシートも便利かも。今回は私一人のツアーだから夜ホテルの部屋でゆっくり読むための文庫本数冊は必携。基礎化粧品も到着日の夜と翌朝の分だけでいいから試供品で十分。それにメークは口紅くらいしか出来ないしー、と詰め終わってみたら。「なーんだ、思ったよりも荷物は少ないじゃない?!」だったら、ワンピースもう一枚入れちゃおうかしらん、といった具合。たいして労せず準備完了!

さて、実のところこの旅を決めてから色めき立ったのは私だけではない。【金の糸】なぞを施術した人物はどこまで遡っても周囲におらず、このロシア行きを打ち明けたすべてをわかちあう友たち(各年代)の期待感はことさらのものがあった。
「他人に知られず、穏やかに作用」という、画期的な美肌への道程は女性の憧れに他ならず、それを自らの身をもって啓蒙すべく挑戦する私は、言ってみれば、【金の糸】ジャンヌ・ダルクというワケである。
てなわけで、民の期待を背負い、かつ、【恋してしまった相手(モスクワ)に逢う】ということと【うつくしくなる】という壮大な野望を胸に秘め私の旅は当日を迎えたのだった(大ゲサな)。

[7月25日(金) 快晴]

成田空港のアエロフロートカウンターで一度しかお逢いしたことがないというのにまるで旧知の方のような社長の吉伊さま(私より少しお姉様の美人)が笑顔で迎えてくださり、今回の旅はスタートした。
持ち物にあれこれ煩わしい通関後、「着いてすぐはお水を購入できないかも」とのご助言をいただき、売店で500mlのミネラルウォーターを3本(お荷物の余裕があったら是非!)と『ひとりの夜が退屈しないように』たっぷり本は持ってきたにもかかわらず、本屋で目に付く雑誌も数冊購入。
【ツポレフ】や【イリューシン】でもなく、果たして【ボーイング】であったアエロフロートの快適な飛行で、モスクワはシェレメチボ空港にスンナリ到着。まるで私のロシア訪問を歓迎してくれるかのごとくすこぶるお天気も良く、気分も上々。そんなご機嫌な私が「あら、シェレメチボってば普通の空港じゃない」、とちょうど心の中で思っていたときだった。社長がそれまでの穏やかな様子と打って変わった強めの調子で大きな瞳をさらに見開き、こうおっしゃったのだ。
「いいですか、早足でいきますよっ!そしてイミグレーションで何か言われたら『ツアー・ツアー』とおっしゃってください!」「えっ?(軽い動揺)」「ですからっ、言ったとおりになさって下さいっ!」さわさわと肌を駆け上がるがごとく忍び寄る恐怖。いったい、入国時に何が?!何があるというのかっ(狼狽)?!
あぁきっとありもしない書類の不備を指摘され、屈強な警備員に取り押さえられクルクルと回転するがごとく翻弄されながら極東の牢獄へ連行されてしまうのだ。爪の間に針を刺されたり、髪を持って引きずり回されたりと筆舌に尽くしがたい拷問を受けて泣き叫ぶ私。小さな鉄格子の窓から見える空を眺め、硬く冷たいベッドの上で膝を抱えながら、二度と帰ることなどないであろう日本を思いながら「ふるさと」を口ずさむ私。。極東はモスクワよりも日本に近いというのに、海の向こうはすぐに日本だというのにもう、果てしなく遠いところになってしまった、とさめざめと泣く私・・・。
たかだか10分の中であれこれ思い描き、「何故ロシアに来てしまったのだろう(泣)?」と自問自答しているまさにそのとき、係官がブースの中から私に手招きした。おずおずと前に進み、ビクビクしながら震える手でパスポートを差し出す。気分はもう、とっくに極東。
が、しかし、フルフルと震えるチワワのような私を尻目に、「あー、あと30分で仕事終わるわぁ。今日は金曜日だしぃ、セルゲイでも誘ってクラブにでも行っちゃう?」などと考えながら(あくまで想像、でも多分本当)タルそうにスタンプを押している若いミニスカ通関嬢は、パスポートを投げるように戻してよこしたのだった。
とどのつまり、「ツアー」と申告するような質問もなく(というか言葉を発すること無く)、無論、極東送りになることなど露ほどもなく、あっさりといとも簡単にロシアへ入国を果たした私なのだった。
さて、気になるのは社長の先ほどの言動。で、通関後、その意図を伺うと「早く荷物をピックアップに行かないと誰かに持っていかれちゃうこともあるんです。その上、航空会社も空港もだーれも責任とってくれないんですよっ(大きな瞳で強調)!で、その対策として【早足で】ってお願いしたんです」とのこと。
さっきの私の妄想から比べたら荷物なんてたいしたことない・・・、などと思うワケもなく、「えぇ荷物がなくなったら、そりゃもう、一大事ですっ」と二人でターンテーブル目指して猪突猛進。
社長直伝の早足攻撃のお陰で、見事ターンテーブルから出てきたばかりホヤホヤのトランクと無事ご対面。
しかし、ロシア入国前に極東までバーチャルトリップ出来ちゃったんだから考えようによったらとってもお得だったのかも・・・。あぁロシア、最初から侮れず!

さて、空港から街への道は活気に満ちて、陽射しも眩しく。ハイウェイ沿いの白樺、要所要所に点在する花壇。わくわくとタクシーの窓から風景を見る私の目に、赤いトンガリ屋根が!あれは、もしや夢にまで見た【クレムリン】?そして近づくにつれ、その全貌が私の眼前に!
「あぁ、本当に、来られたのだわぁ」と感慨もひとしおの瞬間。写真よりも数倍うつくしい。
クレムリンを皇居とすると【銀座】くらいの距離にある宿泊先のブダペストホテルは、小さいながらも歴史を感じさせる佇まい。しかしお部屋は近代的にリノベーション済みで使い勝手がとてもよくなおかつ清潔で一安心。
お部屋に荷物を置くと、「ちょっとホテル近くを散策してみませんか?」と社長が素敵なご提案。ホテルの近隣(ホンの百数十m)には名立たるブランドショップの数々。時は7月の終わり。世界的セール時期である!私を止めるものは何もないはず!いざ!!・・・なのに(涙)ロシアはバブル真っ只中・・・。値札を一つ見て「あーこりゃダメだわ」と状況を把握。急遽方向転換。以降この旅での一切のショッピングを放棄することに心を決めた瞬間であった。
それでも街のレストランやカフェの野外テラスはどこも笑いさざめく着飾った人々で埋め尽くされ、夜9時でも、まるで昼のよう。明るい宵を慈しむかのように興じる人々はとても楽しそうで、見ている私をも笑顔にしてくれるのだった。
気持ちの高ぶりと、機内食をたっぷりいただいていたせいか空腹を感じず、明日の出発時間や持ち物の確認後、「おやすみなさい」と其々の部屋へ。
さて、ひとりになると、白夜のせいかとっくに夜だというのに眠る気になれず、かといってやることもなく思いのほか暇になる。暇になると人間色々なことを考えるもので『綺麗そうに見えるホテルの部屋が果たして本当に清潔か?』という猜疑心が沸いてきてしまった。そうなると、居ても立ってもいられやしない。持参した除菌ウェットシートで部屋中の目に付くところすべて(ベッドの枠まで)拭き取り開始。布製のソファセットまで拭くというのだから我ながら始末におえない。でも、スッキリした。その後荷物の整理をし、こまごまとしたものを部屋に配置し心地良い空間を作り、シャワーを浴びてほっと一息。
さ、テレビでも見ましょうか、と思ったものの至極あたりまえのことだがすべてロシア語。無論何にも解るはずもなく。何を聴いても『ドゥルルゥ~、ドゥルルルル~、』と聞こえる(それも低音)。ロシア語に慣れるためにも、とBGMがわりにしてベッドで雑誌を捲りながら一日目の夜は更けていったのだった。
あ、そうそう。
拭き取った後のウェットシートにはまったく汚れがつかず部屋は清潔そのものであったことをホテルのためにも記しておかねばならない。何かにつけ挑戦を仕掛けてくるロシア。
明日も気を引き締めていこう。

[7月26日(土) 快晴]

施術当日!緊張感からか目覚まし時計のベルよりも前にスッキリ6時に起床
金の糸を入れた後は帰国後まで洗髪できない(!)とはこちらに来る前に伺ってはいたものの、毎日のシャンプーは私の決まりごと。でも我慢しなければ。辛いけど頑張る。だから今朝は念入りに洗髪&入浴。
そして、ガイドブックに載っていた『お水がよくない』という記述を思い出し、ミネラルウォーターで歯磨きとうがい(なんという贅沢!)。
そんなときに、アメリカ在住の親友より「がんばってね」のTEL。ありがたや、ありがたや。大丈夫と思いながらもちょっと心細かったの~(涙)。「明日もこの時間に電話してね。私待ってるから」と恋愛したての女の子のような健気さでお願いする。
お約束の午前9時、生まれて初めての全身麻酔、目覚めは朦朧としているであろうと想像し、着脱が楽なワンピースでホテル玄関へ。「おはようございます」と吉伊社長、通訳スタッフの方(大きな人!)とごあいさつ。そしてタクシーで【アルター・エゴ】へ。吉伊さんの楽しいお話にこちらも負けじとギャグの応酬(後々考えるに、私の緊張を解きほぐそうとしてくださっていたのだ、としんみり)。道すがら目に付く銅像や建物を教えていただいたり、金の糸のことをあれこれお話しているうちに、車は高層住宅の一角で停車。「着きましたよ」との声に一瞬「ここ?」とビックリ。なぜなら、日本で言うところのマンションのようなところの一角なのである。しかし、一歩中へ入るとそこはとても清潔で洗練された空間であった。どこもかしこも(勿論洗面所も!)ピカピカに磨きぬかれ、訪れる人を安心させる、そんな居心地の良さ。

待合室であれこれ健康についてのチェックを受け、そして、さあ、お待ちかねの診察室へ。
「うつくしい肌をしていますね。でも、もっとうつくしくなりますよと」と私の肌を診察なさったあと、自信に満ちて断言なさった執刀医の先生。
「なんの心配もいりませんよ。それより私の麻酔と貴女が好きなお酒のどちらが気持ちよく眠れたか、目が覚めたあとで教えてくださいね」と茶目っ気たっぷりにおっしゃった麻酔医の先生。
「私は日本語も英語も解らないけれど、大丈夫安心してね。すべてゼスチャーで伝えてあげるから。」と言って優しい笑顔で私の手を握ってくれた看護師さん。
誰もがなんと優しいこと!本当に全ての方達が【私だけ】を気遣ってくださっている。
気分はすっかり『可愛いプリンセス』。
言葉の不自由さもあってか、嬉し怖しとちょっぴり不安な私は、手を繋いで「こっちよ」と導かれるまま着替え、身振りで促されるままストレッチャーに横たわり、そして手術室に運ばれる間も運ばれた後も、ずうっと頭を撫でられたまま。たぶん「だいじょぶよ~」とおっしゃってくれているのだろう、看護師さんの優しい声を聞きながらまるで幼子のように眠りに落ちていったのだった。

さて、先の診察の際に「唇の上にバイオポリマーを入れたら、とても魅力的になりますよ」と先生がおっしゃった。まっ、先生ったらお上手なんだからっ!んもうそんな素敵なご提案をどうして断れましょう。もちろん即決!でお願いした。ということで今回、顔全体と首の金の糸とバイオポリマーが夢の中にいる私に施されることとなったのだった。(これは大正解!と後々知ることとなる。先生は大変素晴らしい審美眼の持ち主でいらっしゃっるのだ)
どのくらい寝ていたのだろう?眠りから覚めた私の目に映るは、上から見下ろす執刀医と麻酔医の先生方。ぼんやりした頭でも無事済んだことが理解できた。ゆっくりと起き上がり、着替えて待合室へ。そこへ先ほどの看護師さんがにっこりしながら紅茶を私の目の前においてくださった。熱くて、濃くて、甘い紅茶のなんと美味しかったことか!そのお茶が、私を麻酔の余韻からスッキリと現実の世界へ戻してくれたのだった。
かつて、子供であったときですら、こんなに病院で大事にされたことがあったであろうか?あまりに、心地よく優しい応対に毎日金の糸を入れても良いとさえ思う私であった。

ホテルへの帰途、朝から固形物を口にしていない私を、社長はホテル近くの【ヨールキーパールキー】という評判の良いチェーンレストランへ連れて行ってくださった。消化によいもの、ということで「ペリメニ(水餃子)」と「焼ピロシキ」。一日絶食の私の胃にもやさしいお味で、とても美味しい!お腹も満たされ、ほうっ、と一息ついてお店を見渡すと、ロシア女性たちのなんと美人なことか!金髪碧眼でスラリとした肢体。
なぜロシアでバレエが繁栄したのか、一目瞭然。チュチュなんぞを着たらさぞや、と思われる美しい彼女たちは女性から見てもうっとり。「眼福眼福」と濃くて美味しい苔桃ジュースをストローで啜る私であった。
さて。部屋に戻って気になっていた自分の顔を初めて(怖いけど)まじまじと鏡で見てみた。正直言って、この顔でレストランに行ったかと思うと失笑。そして涙。マトリョーシカの中に入ってしまいたい。。返す返すもロシアで施術してよかった。だって、このままの顔で街を歩いても誰も気にしやしない。なにより知人に出会う確率も無きに等しい。日本より湿気が少ないことも良いんではないかしら。そしてこの顔でも、部屋に籠ることなく楽しめるということは精神衛生上非常によろしい。そう思ったら、急に気が楽に。ということであらためて自分の顔をシゲシゲと見てみる。ピキピキと痛い(本当にそんな感じ)けれど、我慢できないほどではなく、でも少し腫れているようでもある。ところどころ内出血もしているようだし。とくに顔の輪郭あたりが目立つみたい。プツプツと針穴も。それに数箇所張られたテープがなにやらモノモノしい感じ。こんなこと人生で何度もあることではない。記念にアップで撮影しなくっちゃ!などとひとりクスクスしながらそんなことを思っていると、日本から持参した携帯にメールの着信が!はやる心で、確認する(ちょっと寂しかったらしい)。そこには、「大丈夫?」から始まるメールの数々。「ロシアのお医者様、ハンサムだった?」や「笑わせちゃいけない、と聞いて面白いことメールしようと思ったけどネタがない」などの愚にもつかない内容の数々。あぁ、友よ。ありがとう。感謝感謝(涙)。こんなくだらないメールが今の私には一番必要なもの。【くだらない】とはなんとすぐれた人間固有の文化であることか!こうして人を助けることもあるのだから、と思い知った夏の夜であった。

[7月27日(日) 晴れ]

4時起床。外はもう明るい。今日もよいお天気。
起きてまず、鏡で金の糸チェック。「思ったよりも腫れてはいないけど、やっぱり針穴がところどころにあるわねぇ。うっすらと青緑の内出血は昨日よりもちょっと面積が多くなっているみたい。バイオポリマー注射で唇も腫れてるし。うーん、首の部分が一番目立つかも。」と自分を客観的に見ながら、またしても記念撮影。
許されている範囲、首から下だけシャワーを浴びましょう(発汗しない程度ならOKとのこと)。洗髪が禁止(涙)されているので、せめて・・とシーブリーズのウェットシートで地肌を丹念に拭い、熱いお湯で蒸しタオルを作り髪を何回も何回も拭き取って、とりあえずはさっぱり。お約束どおり今日も電話をくれた親友に、金の糸の報告も済ませる。さ、あとは時間までゆっくり本でも読みましょうか。
ルームサービスでの朝食をすませ、身支度。支度と言っても、メイクするわけでもないし服を着るだけなのでカンタンなもの。そしてホテルロビーへ。社長・通訳スタッフの方(今日も同じ大きな人)とタクシーで【アルター・エゴ】へ。「観光をたっぷりしたいでしょうから」と10時のお約束を9時に早めてくださったお優しい先生は、私の顔をくまなく診察された後、「施術後の経過は良好」とお墨付きをくださった。「洗顔は我慢、でもコットンをお水で湿らせて顔を拭いてもよい」「引き続き上を向いて寝るように」等々の留意点をお伺いして、「それでは帰国日の診察で」と先生とお別れ。

さあ、お待ちかねのモスクワの街へ!
雀が丘~ボロジノ戦闘パノラマ館~ノボデヴィッチ修道院~戦勝記念公園~救世主キリスト大聖堂
と、モスクワ名所を吉伊社長にもお付き合いいただいて観光。まず最初に雀が丘。この丘はモスクワっ子に大変愛されているようである。地元民が愛してやまない場所はすなわち“力をくれる場所”だと、何処を訪れても私は思う。ここから眺めるモスクワはとてもうつくしい。次にこの地を訪れても、私は最初にここへやってくるであろう。雀が丘を好きになる人はきっとモスクワに愛される人に違いない。
さて、今回タクシーチャーターをお勧めくださった社長に本当に感謝している。時間の無駄もなく、施術後の身体にも負担がなく大変有意義な時間を過ごすごとができた。せっかくのモスクワ。ちょっと贅沢も必要でしょ。
車中で楽しく過ごしていればあっという間に目的地へ到着。社長が【トカレフ】なら私は【カラシニコフ】。おしゃべりの銃撃戦は途切れることなく続いたのであった。
そういえば、この日は夏の日曜日。訪れた名所にて写真撮影をする若いウェディングカップルをたくさん見かけた。青空の下、幸せそうな新婚さんたちは眩しいほどにキラキラと、発光するがごとく輝やかんばかり。きっとよい“気”をいっぱい放っていたのであろう。私もおすそ分けをいただいたように幸福な気持ちになったのだった。どうぞお幸せに!

[7月28日(月) 曇り時々小雨]

スッキリ5時には目覚めた私。洗髪代わりの拭き取りとシャワー。湿気が少ないからか、思ったより洗髪できない辛さもない。お許しいただいたとおり、コットンをミネラルウォーターで湿らして顔を拭き取りましょう。写真撮影ももちろん、ね。金の糸の日々の移り変わりは後でよい思い出になるであろう。
今日は一日観光の日(徒歩)。でも通訳ガイドの方とのお約束までたっぷり時間がある。ルームサービスの朝食をゆっくりいただいたあと、本を読んだり窓の外を交互に眺めたり。そしてのんびりと身支度。今日は昨日までと打って変わって肌寒いほど。持ってきた洋服の中で、一番暖かそうなものを着るのが無難なよう。
クレムリンまではホテルから徒歩10分の距離。武器庫・ダイヤモンド庫・聖ワシリー寺院を瞳に焼き付けるがごとく見学。そのあとモスクワご自慢の地下鉄に乗ってアルバート通りへ。標識も地下鉄表示もあたりまえだが全てキリル文字。暗号のようでまったくもってなにがなんだか解読不能。それでもクレムリンあたりまでは、「ここでガイドさんとはぐれても、ホテルへ帰れるな(ふふん)」とタカを括っていたが、地下鉄に乗ったりするあたりから危機感がヒシヒシとつのる(身軽にと思って地図すら持ってきていなかった)。自分がどこにいるのか、どうやって帰ったらよいかも解らない。せめてホテルのカードなどを持ってくればよかった、と気付くがときすでに遅し。地下鉄の乗り換えがさらに不安を助長する。帰るまでは何があっても出来るだけガイドさんに対し殊勝にしなければ、と心に決める。しかし、だからといって弱みを見せることは日本女子たるものあってはならぬ、とつとめて平静を装う私であった。
さて、お店などを観て廻った後『典型的なロシア料理が食べたい』という私のリクエストで夕食はボルシチ・ブリヌイ(クレープ)&イクラ、スモークサーモン等々。かなりなボリュームであったが頑張って完食。それにしてもイクラって奴はなんたることかご飯だけでなく少し甘めのクレープにもすこぶるマッチ。ロシア人もなかなかやるもんである。ボルシチだってスイスイと喉を通る美味しさ。モスクワの食事情、日本人にとってまったく問題なし。
一日歩き続けて、お腹もいっぱい。それではホテルに帰って荷造りしましょうか。

[7月29日(火) 晴れ]

本日は4時に起床。明けゆく空の色、人の流れ・・・刻々と変わる部屋から見る街の様子ですら、うつくしい。時間の許す限り眺めて過ごすこととしよう。
顔の様子は、まだ内出血がのこっているが見苦しいほどでは無い、と思う。唇のバイオポリマーも腫れが引いてきてとても自然。先生のお勧めに従ってよかった!もちろん最後の記念撮影も忘れずに、ね。
朝食をとり、荷物の最終チェックをし、身支度を整え11時にロビー。社長とスタッフ(今日も大きいな~)の方とごあいさつ。チェックアウトをすませて【アルター・エゴ】へ。帰国前最後の診察である。
「なんの問題もありませんよ。」と笑顔でおっしゃる先生。
私の肌が、きっとうつくしくなるであろうことは、自信に満ちている先生のご様子を拝見すれば明白。感謝の気持ちを言葉にしたいのに言葉の壁は厚く、もどかしい。
でも、きっと私の心からの「スパシーバ(ありがとうございます)」はわかって頂けた、と思っている。
やりたいこと、観たいもの、すべての目的を達成した私。さあ、思い出と共に日本へ帰りましょう!

【日記を書き終えて、今、思うこと】 

金の糸のその後の私の肌の状態は、他人から解るほどには劇的変化を遂げてはいない。でも、とても幸せ。だって朝起きて【うん、今日も肌、大丈夫】と思えたあの遠かった日々が帰ってきてくれたのだから。他人から見たらわからないであろう、でも自分だけがわかるあの【幸せな朝】が。どうか想像してみていただきたい。きっと、それがどれだけ幸福なことかわかっていただけるだろう。今の私にとって、10年前後効果があるという金の糸は長期型保険であり、また、これ以上ない素晴らしい精神安定剤になってくれている。本当にやってよかった。
さて、旅というのは、「ほんの少しだけ」時がずれただけで天気も人もそして交差する物事すべてががらりと変わってしまうもの。この金の糸への旅は私にとって『行くべき時』であり『行かなければいけない場所』だったのだ、と日記を書くことによって改めて思う。
最後に私のために些細なことも厭わずにお心を砕いてくださった吉伊社長、ならびに私の旅に関わってくださったすべての方々、そしてロシアという地に今一度、心からの感謝を捧げたい。
本当に本当にありがどうございました。
2009年、次回の【金の糸ロシアへの旅】に向け、日々勤労に励む麗らかな春の宵に

MAB ユーリー TEL03-5201-3753

(営業時間:月〜金10〜18時、土日祝日休み)

e-mail:info@yourij.net
メディカル・エステ・クリニック アルター・エゴ ツアープランニング日本総代理店
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